陰謀のための結婚

「香澄ちゃんは俺の車を嫌がるくらいだから、俺の立場が自分には相応しくないと言って逃げられそうだって、いつも気を揉んでいた」

 ある意味、彼は言い当てている。相応しくないのもそう。それ以上に、妊娠できないという重大な秘密もあった。

「そのせいでこの前は抱き潰してしまうし、なにやってるんだろうな。俺」

 肩を落とす彼に、どうしても伝えたくて言葉に力が入る。

「私、雰囲気に流されたのは、智史さんだからで。軽い女と思われたかもしれないですけど、全部、智史さんだから」

「うん」

 おでこを合わせて、「ありがとう」と彼は優しく言った。
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