陰謀のための結婚
食べ終わると、手を引かれソファにいざなわれる。
「香澄ちゃんはこっち」
先に座った彼の隣に腰を下ろすと、引き寄せられ彼の腿に乗る形になった。
「この姿勢はちょっと恥ずかしいです」
横抱きのいわゆるお姫様抱っこの姿勢で、彼の上に乗っている。
「どうして? ほら、キスもすぐできる」
チュッとリップ音をさせ、軽く唇を合わせられ、彼の胸に顔を埋める。
「真剣な話をしたいのですが」
「うん。別れたいだなんて、言えなくしてやろうっていう魂胆」
「だって、私、ずるい人間ですよ?」
今まで言えなかった思いを吐き出す。
「最初はお金目当てでしたし、そのあとは話さなきゃいけないとわかっているのに黙って側にいて」
「それを言うなら俺の方だ。香澄ちゃんが雰囲気に流されているとわかっていて、手を出した。体の関係にさえなれば、真面目そうな香澄ちゃんは結婚に応じると踏んで」
智史さんは「我ながら、浅はかだよな」と嘲笑して続けた。
「ダメ押しで妊娠させれば、逃げられないだろうって」
彼は私の頬に手を添えて「ごめん」と謝った。そして尚も続けた。