陰謀のための結婚

 未だ飲み込めずにいる私に、城崎社長は続ける。

「大前提を話した上で、香澄さん。あなたさえよければ、私たちは智史との結婚は大歓迎だ。あとは香澄さんの気持ち次第」

 揺れる瞳を城崎社長に向けると大きく頷かれ、それから智史さんに視線を移す。彼は優しい微笑みを浮かべて小声で耳打ちをした。

「絶対に香澄ちゃんを離さないって言っただろう?」

 みんなからは見えないテーブルの下で、彼は私の手を軽く握る。それだけでなぜだか涙が出そうになり、私は顔を俯かせた。

「さあ、ちょうどいいタイミングに、今日の主役のお出ましだ」

 個室の扉が開き、入ってきた人物に絶句する。三矢本人だった。

 三矢もすぐに私を視界に収め、目を見開き、城崎社長を見据えて言った。

「どういう集まりですか。今日は新しく建設予定の城崎リゾートのホテルについての打ち合わせだと」
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