陰謀のための結婚
母と話をしたいという私の希望で、今日は早めに帰宅する。
「いつかは同じ場所に帰るようになるのだと思うと、こうやって送っていく行為自体が感慨深くなるよ」
『同じ場所に帰る』その言葉だけで、温かい未来が手招きしているように感じた。
「次は抱いてもいいかな」
それがただ抱きしめるという意味だけではないのは、私にもわかった。
「確認されると、緊張します」
尻すぼみに声が小さくなる私の手を、彼は優しく握り直す。
「体の変化があったから、俺に触れられるのが怖くなったりしてないか心配で。それに会う度に体を求めていたら、それだけが目的と思われても嫌だから」
「会えなくて、少し寂しかったです」
「少し?」
不満げな声色に思わず笑みがこぼれる。
「本当は、すごく寂しかったです」
「うん、そっか、俺も」
幸せな余韻に浸りながら、アパートまで帰っていった。