陰謀のための結婚
私の気持ちが固まると結婚に先駆け、一緒に暮らす手筈が整えられた。
智史さんのマンションに行くと、笑顔で出迎えられる。
「お邪魔します」
「いらっしゃい。これからはここが自分の家になるんだから、遠慮しないで」
数えるほどしか来ていない彼のマンションは、まだ緊張する。
リビングに進み入ると見知らぬ男性がひとり。
「こんにちは」
爽やかな笑顔で挨拶をされ、私も応えて会釈した。そして彼の名前を聞いて絶句する。
「三矢直輝です。はじめまして」
「どうしても会ってみたいっていうから」
智史さんの説明を聞き、おそるおそる彼を見遣る。
「引っ越し祝いを持ってくるならいいだろうって、かなりの上から目線でしたけどね」
冗談っぽく愚痴を言う直輝さんは、智史さんとの仲の良さが伺える。
わざわざ直接、私に文句を言うために会いに来たというの?