陰謀のための結婚

 ひとしきり泣いたあと、私は母から体を離し、顔を拭いた。そして真っ直ぐに告げる。

「だから、手術を受けるね」

 母はしばらく沈黙したあと「そう。知っていたのね」と言った。

 もしかしたら。と想像していた通りだった。母は私の体の状態を知っていた。

「お母さんこそ」

 つい不平を漏らすと母らしい言葉を聞いた。

「本当に一緒になりたいと、香澄が思える人が現れたときに話そうと思って。健康な人だって授かるとは限らないわ。それでも受け入れてくれる人を見つけてほしかったのよ」

 私は数度頷くと、もう一度母に抱きついた。

「なあに。大きな子どもみたいね」

 もうこれ以上、私の出生に関わる話を母にする気持ちになれなかった。三矢の思惑も、陰謀も、どこまで信じたらいいのか判断できない。

 けれど友恵さんと話せたおかげで、少なくとも友恵さんは信じてみようと思えた。
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