陰謀のための結婚

 プライベートのスマホの番号を、どう入手したのか。それを考えると恐しいが、お金に糸目をつけなければ、幾らでも方法はあるのだろう。

 なにか虫の知らせがあって、母を思い出したのだろうか。ごく僅かな望みをかけ、会おうと決めた。

 あまりにもタイミングが良過ぎて、普段なら考えもしない夢を見てしまったのだと思う。

 城崎グループのホテルは格式が高い。ドレスコードに引っかかり恥をかかないために、友達の結婚式に着たドレスをクローゼットの中から引っ張り出す。

 落ち着いた濃いブルーのドレスは、袖部分のレース使いが上品なデザイン。薄手のカーディガンを羽織れば、電車での移動でも目立たないのは助かった。
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