陰謀のための結婚
「今回は真摯にきみに向き合うから。結婚候補として相応しいか見極めてよ」
真面目な顔をして言われ、視線を逸らす。
相応しくないのは自分の方だ。それなのに、私は彼を騙すような真似をしている。
敢えて黙っているという行為は、彼を欺いていることにはならないの?
三矢に言われた詭弁に、縋ろうとしている自分を嘲笑する。
旅行で長い時間行動を共にすれば、私が思ったほどの女ではないと彼だって気づくはず。
「結婚で思い出したけれど、きみは箱入り娘なんだね」
どこをどう見たら箱入り娘なのだろう。不思議に思っていると、彼から考えてもみなかった答えを聞く。
「三矢社長が『娘はわがままで金がかかる。娘の小遣いに』と、ひと束ポンと渡された」
ひと束ってまさか、百万円? 現金で? 嘘でしょう?
驚き過ぎて声が出ない。けれど、それを悟られてはいけない。この程度で驚いては、正体がバレてしまう。