陰謀のための結婚
「俺が誘ったので大丈夫ですと言ったんだが、『いいから持っていってくれ』と譲らなくて」
こんなにも金がかかる女性だとは思わなかったと、幻滅されただろうか。濡れ着を被せられた気分になるけれど、幻滅された方がいいと思い直す。
「強引な父ですみません」
形だけでも、三矢を父と呼ぶ自分に抵抗があった。本当の箱入り娘なら、男性との旅行を簡単に許したりしないだろう。
ただ、お金で言いなりにしたいだけ。
「せっかくだ。豪遊しよう」
彼は口の端を上げ、悪い顔をしてみせる。
「そうですね。使い切ってやりましょう」
「ハハ。悪い娘だ」
彼は楽しげに笑っている。
お金に困っているのに旅行なんて。という気持ちは消えて、この際、思う存分遊んでやる!と吹っ切れた。
そして百万円をポンと渡される非現実的な出来事も笑い話にできる彼とは、やはり住む世界が違うのだと改めて感じた。