陰謀のための結婚

「きみは、妊娠ができない体だ。悪いが調べさせてもらった」

 センシティブな内容を指摘され、体がカッと熱くなる。テーブルの下で握り締める手が小さく戦慄(わなな)く。

「城崎リゾートは近年、事業を拡大している。このままでは我がグループに危機を及ぼしかねない。今のうちに芽を摘んでおきたいのだよ」

 もしかしたら、いい人かもしれない。そんな淡い期待は、海の藻屑となって消える。

 三矢は、全てを知っていて、その上で私を利用しようとしていた。

「最低」

 かろうじて口から転がり落ちたのは、情けないありきたりな言葉。

「なんとでも」

 批難にも、三矢は顔色ひとつ変えない。

「城崎リゾートの御曹司である城崎智史は、内外も認める実力者だ。彼がトップになるのは、どんな手段を使おうとも避けたい」
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