陰謀のための結婚

 私は怒りで震えそうな声で、静かに伝えた。

「あなたを父とも思っていませんが、今は人とも思えません。あなたの陰謀に、私を巻き込まないでください」

 席を立ち、この場を去ろうとする私に三矢は淡々と告げる。

「きみが城崎に見初(みそ)められ、婚姻を続ける限りは、母親の手術とその後のリハビリのために、援助をしようと考えている」

 三矢の提案を耳にし、動きかけていた足を止める。

 振り返り睨んだ先の三矢は口の端を上げ、笑みを浮かべた。

「私が人でないのなら、きみにも同じ血が流れている。城崎と結婚してくれるね?」

 口の中はカラカラに乾いているのに、自分でも聞いたことのない酷く冷淡な声が出た。

「わかりました」
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