もふもふ、はじめました。

宵闇

 はっと目が覚めて、びっくりした。

 泣き疲れて寝入ってしまっていたのか、顔が冷たい。

 あの後、心配する岸くんにタクシーで家まで送ってもらったんだけど、大丈夫って言い張ってドアを閉めたら涙が止まらなくなった。

 何がどれだけ、どんな風に悲しいのか。自分でも整理出来ない。頭の中はぐちゃぐちゃだ。

 あんな人を一時でも好きだった時期があったなんて、信じられない。確かに傲慢なところもあったけれど。こんなに、酷い人だったなんて。

 もし。あの申し出を受けたとしても、取引を再開してもらえるとは限らない。会社側に訴えても、今の時点で何の証拠もない。
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