腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 そのまま二人で控室まで行き、控室のドアをノックすると、スーツのジャケットを脱いでいた工藤先生が顔を出す。
 そして、工藤先生は室長を見るなり顔を輝かせ、お久しぶりです、と微笑んだ。

「顔を合わせるのは、久しぶりね」
「今日は来てくださって、ありがとうございます」
「とてもご活躍のようね」
「いや、まだまだですよ。正司先生は今は海外ですか?」
「時々帰ってくるくらい。この講演の話ししたら、自分も聞きたいってゴネてたわよ」
「正司先生がいらっしゃると緊張するので聴講されてなくてよかったです」

 工藤先生が人懐こい笑みで微笑むと、室長も楽しそうに笑う。
 私は横で聞いていて、壇上で話していた通りの人柄だと思っていた。

 二人が一通り挨拶を済ませると、私は、自己紹介をし、頭を下げる。加えて室長も紹介をしてくれた。

「この子、うちの地域医療連携室のスタッフなの。それに……」
「わかりますよ。西條さんも来てくれてありがとうございます」

 工藤先生はそう言うと、微笑んで私を見る。

(何がわかるんだろ? すでに私から医療スタッフのオーラがちゃんと出ているのだろうか?)

 そう思いながら工藤先生を見ると、工藤先生は微笑んで、

「そうだお時間が許せば、お茶でもしませんか? 感想も聞いてみたいし。ぜひ、西條さんも」
「いいわね」
「はい!」

 私も、二つ返事ですぐに頷いていた。

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