腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる
私はその軽やかな笑い声を聞いて、自分の両手をぎゅっと握って、意を決して顔をあげる。
「あの……工藤先生は、多重人格の症例って何例も診察されているんですよね? 夜だけ、本音を持つ人格が現れるって、どう思いますか?」
それを聞いて工藤先生は顎に手を当て、少し考えたあとに笑った。
「……本音を持つ人格、か。おもしろいね。普段から、本音をまったく出さないタイプなのかな」
「そうです。そうなんです……」
すぐに言い当てられて、私は何度もうなずく。
リク先生は本音を出さない。こっちが不安になるくらいに。