腹黒脳外科医は、今日も偽りの笑みを浮かべる

 私は慌ててポケットに入れていたスマホを先生に見せる。
 寝る直前まで調べていたものだ。

「あのね、先生。ちょっとだけ、ここに出かけませんか。近いからオンコールも受けられると思うし」
「出かけるってこんな夜中に?」
「はい」

 しかし、先生は難色を示した。
 私は慌てて言葉を繋ぐ。

「これ、そこの駅前の小さな水族館なんですけど……この時期は週末だけオールナイトみたいなんです。先生と行ってみたいなぁって思って……」

 私が言うと、先生は戸惑った顔をしたあと口を開く。

「昼間もやってるんでしょ。昼間に行けばいいじゃん」
「でも夜しか泳いでない魚もいるんですよ!」

 なんとかノーと言わさないように強く言うと、
 先生は、まぁどうせ眠れないしね、としぶしぶと言った様子でなんとか頷いてくれた。

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