甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 そしてわたしが帰る時間になっても、島内さんと室長との話し合いは続いていて、さらに多田さんと橋本さんも加わってヒートアップ。

 うー、仕方ない。
 明日にしよう。
「お疲れ様でした」と皆さんに声をかけ、ひとり、オフィスを後にした。

 なんで言えなかったんだろう。
 たった一言、「話しがある」
 それだけなのに。
 
 駅に着き、島内さんと入ったカフェが目に入ってきたとき、あの日、わたしへの想いを伝えてくれた彼の真剣な表情を思い出した。

 ―― 俺と付き合ってくれないか……

 今日言わないと、ずっと言えない気がする。
 
 わたしは今来た道を引き返していた。
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