甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 すぐには言葉の意味が呑み込めなかった。

 多田さんは、わたしの目の前にきた。
「ねえ、だからってわけじゃないけど、俺たちも付き合わない? 俺、実は植田さんのこと……」

「お疲れ様でしたっ」
 わたしは大声でそう言うと、頭を下げて、オフィスから飛び出した。

 やっぱり……
 島内さんにはわたしが見えていない面が、まだまだあったってことだ。
 あんなに、わたしに気のあるそぶりを見せながら、別の女性と……
 
 まだ良かった……自分の想いを伝える前で。

 そう思いながらも、暗幕が引かれたように真っ暗になった気持ちは立て直せそうにない。

 こうなることが怖くて、ずっと一歩が踏み出せなかったのに。

 やっぱり、もう一生したくない。
 恋愛なんて。
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