甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 
***

 それから約1ヵ月後の週末。
 島内さんのマンションに引っ越しをする日になった。

 引っ越し会社の車を見送って、部屋に戻ろうとしたとき「奈月」と声をかけられた。

 振り返ると、裕樹が立っていた。



 実はわたしが来てほしいと頼んでいた。
 預けっぱなしになっていた部屋の鍵を返してもらうために。

「元気そうだな」
 7カ月ぶりに会った裕樹。
 彼のほうは少しやつれたように見える。

「わざわざごめんなさい。今日中に管理会社に返さなくちゃいけなくて」
「こっちこそ、ごめん。ずっとそのままにしていて」

 彼は封筒を手渡した。
「こんな時期に引っ越しなんだ」
「うん、彼氏と一緒に暮らすことになって」

 裕樹は意外そうに目を見はったけれど、それ以上のことは訊かなかった。
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