甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 すると、道路からクラクションの音が。
「植田さーん」
 道に停車した車から声がかかった。

「あっ、島内さん」
 彼はわたしの顔を見て苦笑した。

「うわ、傷つくな。そんな困った顔されたら」
「いえ、ちょっと驚いて」

「どこ行くの?」
「新宿です。弟と約束があるので」
「乗ってよ。送ってく」
「大丈夫です。駅はすぐそこですし」

 島内さんは車から降りてきて、わたしの前に立った。
「俺もちょうど新宿に行くとこだから」

 ブッブー。

 後ろの車が抗議のクラクションを鳴らしだした。
「ほら、早く出さないとまずい」

 押し切られて、結局わたしは助手席に乗った。

「これ、新宿に住んでる友達の車なんだよ。昨日、そいつがうちに来て飲んだくれて、置いてっちゃって」
「それでなんですね。車出勤なんて珍しいなと思ってました」
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