甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「どこに行けばいい?」
「弟がフットサルをやっていて、その練習場に」
 わたしはスマホを出して島内さんに見せた。
「中央公園ね。OK」


 車に乗るとすぐ、島内さんは本来の営業のかたわら、新素材を売り込むための新規プロジェクトにも呼ばれて目の回る忙しさだと話しはじめた。

「もう、ほぼ毎日、日付が変わるころまで会社にいるよ。まじで倒れそう」 
「大変ですね」
「ね、励ましてくれない? きみに言ってもらえたら頑張れる気がする」
「お仕事、頑張ってください」
「それだけ?」
「……他に何か言うことありますか?」

 島内さんはちらっとわたしを見ると、意味ありげに微笑む。

「『亮介さん、好き』って言ってくれたら百人力――」
「言いません」

 即答すると島内さんはハハハッと笑っている。

 もう、彼がどこまで本気なんだか、今ひとつわからない。
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