甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 そうこう話しているうちに、駅に着いた。

「ありがとうございました。もうここで」
「もう駅か。近すぎるって。もっと話していたいよ。家まで送っていきたいところなんだけど……」

 そう言って、わたしの顔を覗きこんでくる。
「いえ……そんな」
「わかってるって。迷惑だって顔に書いてあるから。大人しく退散するよ」

 彼はふっと目を細め、それからちょっと名残惜しそうに胸の前で小さく手を振った。

***
 
 車窓に映る自分の顔を見ながら、あんなにストレートに好意を示してくれる彼の気持ちに、自分がなぜ応えられないのか、考えていた。

 うん、けっして悪い人じゃない……それはよくわかっている。

 受け入れられないのは、ひとえにわたしの心の問題。

 まだ男の人と付き合うのが怖い、という気持ちが強かった。
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