甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 わたしの言葉に、裕樹は苦しそうに顔をゆがめ、それから重い口を開いた。

 その人はふたりの子供を必死で育てているシングルマザーだそうだ。
 彼女の長男が、裕樹がはじめて担任を持ったクラスの子で、夏休み明けから問題行動を起こすようになった。
 母親と喧嘩して、夜中に家を出ていってしまうこともしょっちゅうで。
 裕樹は彼女から相談を受けることが増え、一緒に行動しているうちに、どんどん気持ちが傾いて止められなくなった、と。

 たしかに最近、デートをキャンセルされることは多かった。
 クラスに問題児がいて予定が立たないと言われて。

 プライベートの時間まで割くなんて、熱心すぎると思ったけど、それも裕樹らしいなと思って我慢してたのに……
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