甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
 島内さんの他に知っている人はいなかった。

 けれど、一度は名前を聞いたことがある人ばかり。
 社内の中堅と若手の〝出来る〟人材が集結している。

 新規ブランドに賭ける会社の意気込みが伝わってくる。
 どうしても、わたしだけが場違いという気持ちが拭えない。
 
 緊張と不安をかかえながら、エレベーターホールを目指して歩いていたら、後ろからポンと肩を叩かれた。

 振り向くと島内さんが満面に笑みをたたえている。

 彼の笑顔を目にしたら、なぜか不安がすっと消えた。
 やっぱり、知っている人が一緒というのは、ものすごく心強いな。


 挨拶を忘れていたことに気づいて、慌てて頭を下げた。

「おはようございます」
「おはよう。今日から新しい部署だと思ったらなんかそわそわしてさ。いつもより早く家を出てきた。植田さんも早いね」
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