愛のアンフォルメル
茹だるような夏がようやく終わり、秋の気配が滲み始めた頃。
私のもとに一通のポストカードが届いた。
それは国立美術館による企画展のお知らせだった。
『綺田菫展~愛のアンフォルメル~
綺田菫、五年ぶりに国内での展覧会開催。
新作を引っ提げて帰国!』
展覧会のポストカード裏面に印刷された代表作は、夏祭りの私だった。
花火の光に照らされて、菫さんの隣で眠る私の姿がそこにはっきりと描かれていた。
『You should come!』
綺麗な筆記体で書かれた手書きのメッセージを見て、私は口元を綻ばせる。
彼がそう望むのであれば、私はそれに従うだけだ。
冬になったら、菫さんからの軽薄な愛を受け取りに行こう。
大人になった今の私の身体は、驚くほど身軽だから。
――――菫さん
――――うん?
――――愛って何だと思う?
――――君の悪い部分を受け止められること。僕、凛ちゃんの意地悪なところも、残酷なところも、エゴ塗れなところも、全部可愛いって思っちゃってるんだよね
――――それはそうかも。だって菫さんも大概だし
――――まぁね。だから、僕も凛ちゃんじゃなきゃダメなんだと思うよ
――――ふぅん、そっか
――――凛ちゃん、随分と嬉しそうだね?
――――別に? そんなことないこともないけどね


