黒曜の戦場
結局、暖かくて首に当てられそうなものは見つからず、蒸しタオルを袋に入れて持ってきて首に当ててくれた。
「やっと解放された」
そうため息をついたリンくんが手首を振って見せるから、その手をとって顔を上げた。
「リンくん、ありがと」
あったかいおててを貸してくれてありがと。
琥珀はリンくんがこんなに優しい人だとは思っていなかったよ。
あれだね、ギャップ萌えというやつかな!!!
にこりと笑いかけると、手を振り払われてしまった。ぴえん。
精一杯のお礼の気持ちが。
「お前リンくんになったの?」
「外出てきます」
「逃げんのかよ」
スタスタと部屋から出ていってしまったリンくん、残された琥珀といおくん。
「で、俺のいない間に呼び方決めてたのかよ?」
「そうですねぇ。リンくんは琥珀のことハクって呼んでくれるらしいです」
「へぇ。アイツが?」
「琥珀って呼ぶの恥ずかしかったんですかね?呼びやすいからって言ってたけど」
リンくん、ツンツンツンデレさんみたいだからなぁ。