黒曜の戦場


結局、暖かくて首に当てられそうなものは見つからず、蒸しタオルを袋に入れて持ってきて首に当ててくれた。



「やっと解放された」



そうため息をついたリンくんが手首を振って見せるから、その手をとって顔を上げた。



「リンくん、ありがと」



あったかいおててを貸してくれてありがと。

琥珀はリンくんがこんなに優しい人だとは思っていなかったよ。

あれだね、ギャップ萌えというやつかな!!!



にこりと笑いかけると、手を振り払われてしまった。ぴえん。

精一杯のお礼の気持ちが。



「お前リンくんになったの?」

「外出てきます」

「逃げんのかよ」



スタスタと部屋から出ていってしまったリンくん、残された琥珀といおくん。



「で、俺のいない間に呼び方決めてたのかよ?」

「そうですねぇ。リンくんは琥珀のことハクって呼んでくれるらしいです」

「へぇ。アイツが?」

「琥珀って呼ぶの恥ずかしかったんですかね?呼びやすいからって言ってたけど」



リンくん、ツンツンツンデレさんみたいだからなぁ。

< 245 / 505 >

この作品をシェア

pagetop