黒曜の戦場
リンくんにスパルタ指導されているのも、未夜くんに癒されながら淡々とトーン削りを習っているのも、いおくんにちょっかいかけられながら褒められるのも。
人と関わりながら磨いていく技術が、結局楽しい。
「でもちょっと、妬けちゃうなぁ」
ポツリと呟いた咲くんが、運転手さんの方を向いて声を張った。
「予定変更。繁華街に下ろして」
「え?あ、了解っす」
「繁華街……?」
今まで黒曜以外の所に、咲くんに連れ出されたことは無かったのに。
「え…………え!?私もっ!?」
「今日は俺の予定に付き合ってよ、琥珀ちゃん」
「ふぁっ!!?リンくんたちは!?」
「ごめーんって連絡しておくね」
取り出したスマホで簡単になにか打った後、そのスマホをポケットの中へと仕舞った咲くん。
すると秒でけたたましく鳴り響く着信音が、車内いっぱいに響く。ひぇっ!!
反応早すぎるでしょ!!
誰に連絡したの!?
「めっちゃ着信きてますよ!?」
「いおりは短気だなぁ」
それ、いおくんめっちゃ怒ってない???大丈夫???
あはははははっと笑う咲くんと鳴り響く着信音と共に、私は繁華街へと連れて行かれたのだった。