黒曜の戦場
プリント倶楽部……お馴染みの写真を撮ってから落書きしてプリントできる機械だ。
あとはたまにお菓子のクレーンゲームに手をつけるくらいだったかな。
「いおりがよくね、音ゲーしに来てるよ」
「わぁ、想像できちゃう」
「ダンスのゲームもするし、ボーリングとかも得意だよ」
「意外と動ける漫画家さんなのね!!?」
漫画家さんというと淡々と描いていて運動が苦手なイメージがあるけれど、やはり不良でもあるから運動神経いいのだろうか。(偏見)
まぁ黒曜は暴力しないみたいではあるけど。
「あれ、じゃあ咲くんは……?」
遊びに来たわけじゃないというのなら、ここへは何しに来たのだろうか?
シンプルに疑問が浮上する。
「ここはね、未成年でも入れる身近な欲の渦巻く場所なの」
「……?」
「一度財布の紐が緩まると、欲はなかなか抑えるのが難しくなるんだ。掴めそうで掴めない、勝てそうで勝てない、そんな中で一度出した金額分の元が取れないと、人は更にお金を使う」
視線の先には、クレーンゲームでぬいぐるみを取ろうとしている中学生くらいの子供。
落とされた爪が引っかかるも、動くのは数センチ、落とすまでは行けずにまた100円玉を入れる。
掴めそうで掴めない、まさにそれ。