甘い支配の始まり《マンガ原作賞優秀作品》





‘無銭宿泊3泊。身柄拘束時の所持金硬貨だけだったって’
「あー詐欺罪が成立するかは微妙だな」
「初犯だったら起訴猶予の可能性が高い」
‘そこへ大家さんの滞納の督促状等があれば、当初から宿泊費を支払うつもりがないと立証し易くなって詐欺罪の可能性も出てくる…無理だろうけど…’

3人とも法科卒業でこういう話は得意だ。誰も弁護士にも裁判官にも検事にもならなかったけれど。

「どちらにしても、一旦身柄拘束されることで今後逃げられないな」
「借金から慰謝料まで返済するのみ」
「早く返済しないと、30万がいくらになることやら」

こうして、町田瑠璃子は俺たちの手を離れたところで自らが招いたイバラの人生を歩むこととなった。

あの能天気女なら‘イバラ’を‘バラ’と思っているのではないかという考えも脳裏に浮かんだが

「まさかな…」

そこまでではないか…もう関係なくなったことだが、店のスタッフには一応簡単に報告するか。

「じゃあな、壱。店に行ってくる。今度は真麻と来るわ」
「ん、連絡くれ」
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