雨上がりの景色を夢見て
「本当はね、雛ちゃんの家にちゃんと送り届けるつもりだったのよ?だけど、着く頃には雛ちゃんよく眠っていて、部屋番号までは分からないし…ということで、もう私達の家連れてきちゃったの」

そう言うと、夏奈さんは部屋の窓を少しだけ開けて、換気をしてくれた。

〝私達の家〟ということは、高梨先生も一緒に住んでいると言うことだとすぐに理解した。

それにしても、車で寝てしまった挙句、夏奈さんのベッドまで占領してしまっているなんて、申し訳なさすぎる。

「…夏奈さん…ご迷惑おかけしてすいません」

「何言ってるの、体調悪い時は誰かに頼らないと」

私の言葉に、夏奈さんは優しい笑顔で答えた。

色々な事を経験してきた夏奈さんだからこそ、とても説得力がある。

「ありがとうございます…。そういえば…今何時ですか?」

「午後の2時を過ぎたところよ」

「えっ…、私そんなに寝てたんですか…?」

確か、貴史のお墓参りが終わったのが、10時頃だった。4時間近く寝ていたことになる。

「きっと、疲れていたのね。お腹は空いてない?」

夏奈さんの言葉に、首を横にふる。

「そう?あっ、そうそう、今日は泊まって行ってね」

えっ…

「いえ…これ以上は甘えるわけにはいきません…。家に帰ります…」

私は体を起き上がらせかけたけれど、再び夏奈さんによって、すっかり横にさせられてしまった。

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