パイロットは仕立て屋を甘く溺愛する
「どなたかに告白をされたことはありますか?」
 その質問に驚いて、慌てて紬希は首を横に振る。

「そんなの、ないです!」
「では、交際の経験は?」
 告白もされたことないのに、そんなことあるわけがない!

紬希は首を思いきり左右に振る。自分の髪が強く頬に当たるのを感じた。その頬はなんだか熱い。

「そうか。てっきり……」
てっきり……?

「では、今どなたかと交際しているとか、そういうことはないんですね?」
「ないです……」
「僕のこと、嫌ですか?」
「っそ、それは絶対ないです!」

 だって、こんな風に近くで見ると、その真っ直ぐで澄んだ瞳とか端正な顔立ちとか、素敵過ぎるのだし、眩しすぎて見れないくらいなのに……。
 けれど、貴堂が好ましいのはそれだけではない。

 今日一日で紬希を外に連れ出し、素敵な話をいっぱいしてくれて、そして認めてくれた人なのだ。
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