見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
「ちょっと事業がうまくいった程度の、成り上がりの家の娘のくせに。おじさまや稔幸さんの厚意につけ込んで本家に取り入るなんて、図々しいにもほどがあるわ」
「あ、あの」
「だいたいあんたなんて、事業提携の口実がなきゃ、稔幸さんと見合いどころか知り合う機会だってなかったのよ。なのに何なの、その、妻の立場を自慢するみたいな話し方。自分が勝ち組だからって嘲笑ってるの、私を」
立て板に水、といった勢いの早紀子さんの話しぶりに、沈黙せざるを得ない。
彼女は、私たちが昔の同級生でもともと知り合いだったということは知らないようだ。けれどわざわざそう訂正を入れる気にはならない。なれない、と言った方が正しいだろう。それぐらい早紀子さんの、こちらに口を挟ませまいとする強い雰囲気を感じた。
いつしか彼女は、頬に涙を伝わせていた。
周りの視線を集めていることにも気づかない様子で、さらに私に詰め寄ってくる。
「私は……私はずっと、あの人が好きだったのよ。本家の血筋じゃなくても優秀だから跡継ぎになれる、その時にはお前にもチャンスが来るだろうってお父さまに言われて嬉しかった。本家を継ぐならきっと、分家の誰かを嫁に取るはずだからって」
なのに……と呻きながら、早紀子さんは私をぎろりと睨み直した。
涙をあふれさせる目が真っ赤になっている。ぎらぎらと光る強い眼差しがふいに危うく感じて、私は思わず一歩引いた。