見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
「ぽっと出のあんたに横取りされるだなんて、冗談じゃないわ。どうせあんたが口実を使って迫って、既成事実でも作ったんでしょう。でなきゃあの人がこんな女を選ぶはずない」
早紀子さんにとってもはや私は、とんでもない悪女になっているようだった。認識自体は勘違いに過ぎないとしても、それを指摘して彼女の憎しみが解けるとは思えない。そんなことを悠長に考えていられる雰囲気でもなかった。
私が後退りすればするほど、早紀子さんは距離を詰めてくる。そしてついに、私の胸ぐらを掴んで、こう言ってきた。
「今ここではっきり言って。私は稔幸さんを陥れました、お詫びに別れますって。さあ」
「……い、言えません」
「認めないつもり⁉」
「認めないも何も……っ、私は稔く、稔幸さんを騙してなんかいません。お見合いでちゃんと話し合って、結婚したんです」
ちらちらと向けられる周囲の視線が気になる。早くこの場を離れたいと思うけどそのためには彼女に手を放してもらわなければいけない。くらくらする頭をなんとか回転させて、私は早紀子さんの手首をどうにか掴んだ。
「誤解なんです。稔幸さんを好きだったあなたには申し訳ないと思いますが……私は別れるつもりはないので」
そう言いながら服を掴む手を外そうとするけど、思いのほか力が強くて動かせない。