見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!

 相当慌てて来たっぽいのによく連絡する余裕があったな……と思っていたら、つかまれた手をぎゅうっと、力を込めて握られる。もう一方の手で顔を覆った稔くんが、はあっと大きく息を吐いた。

「……よかった、はるちゃんが意外と大丈夫そうで」

 私の右手を包む手が、かすかに震えている。心底安心したと言いたげな声と合わせて、どれだけ心配をかけたのかが察せられて、ひどく申し訳ない気持ちが湧いてきた。

「ごめんなさい……心配かけて」
「はるちゃんのせいと違う(ちゃう)やろ」

 間髪入れずに言われて、そこでやっと、稔くんが標準語でなく関西弁になっていることに気づく。これまで、お見合いの日を除けばほとんど口に出す時はなかったのに。慌てたりするとそうなるのかと思うと、こんな時だけどなんだか可笑しくなって、吹き出してしまった。
 当然ながら驚かれてしまい、焦ったように「ど、どないしたん」と尋ねられる。

「ご、ごめん。稔くんの関西弁、久しぶりに聞くなあって」
「え……あ」

 本気でびっくりした顔をしているので、自分が関西弁をしゃべっていることに気づいていなかったみたいだ。
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