見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!

 照れた表情で頭をかく稔くんを見ていると、可愛いなという思いが湧いてきて……そこで、言わなければならない例の件を思い出した。

「あっ……」
「ん?」

 私のつぶやきに耳ざとく反応した彼に、ちゃんと事実を伝えなければいけない。そう思うのだけど、かすかに開いた唇からは、すぐに言葉が出てこなかった。

 これは私だけの問題ではないし、隠していてもいずれは知られる。そもそも、隠す隠さないの話ではない。
 頭ではそう理解しているのだけど、彼がどんな反応をするか──もし、少しでも迷惑そうな顔をされたらと思うと、どう話を始めるべきなのかがだんだんわからなくなってくる。

 視線を下に向けたまま固まっていると、稔くんの方から「もしかして」と切り出してきた。

「妊娠のこと?」

 ずばりと指摘され、またもや言葉を失う。
 なぜ知っているのか、という顔をしていたに違いない。目を見開く私に対し、彼はこう説明した。

「緊急連絡先に、続柄書いてただろ。何も聞かないうちに向こうから説明してきた。医者だったろうと思う」
「……女の人の声だった?」
「ああ、そういえばそうだったかな」
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