見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!

 だけど。

「……せめて、来週とか、もう少し遅くならないの?」
「だめです。先方ももうそのつもりなんだから、あなたも覚悟を決めなさい」

 この話はこれで終わりだとばかりに、ふたたび、母がファイルを差し出してくる。
 仕方ない、と観念したふりをして受け取った。続けて渡された、釣書とおぼしき白い封筒も。

 自分の部屋に戻って、ため息をひとつ吐き、机にファイルと封筒を放り出す。
 見ておいた方がいいのだろうが、見る気にはなれなかった。

 両親のことだから、完全に結婚前提で、今回のお見合いを考えているだろう。
 会って気に入らなければ断ればいい、なんてかけらも思っていないはずだ。
 ……基本、両親の意にそわない進路は選んでこなかったこれまでの人生だけど、結婚相手は自分で選びたい。一生をともにする相手なのだ。両親の希望優先で事を進められてはかなわない。

 日曜日は早起きして、こっそり家を抜け出そうか。
 直前に逃げたとなれば、両親の顔をつぶしてしまうことになるが、嫌がっていることはさすがに理解してもらえるだろう。お見合いの話自体が来なくなれば願ったりだ。

 そんなことを考えていた私だったけど、またもや目算が甘かったことを思い知らされるのは当日の朝のこと。
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