見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
日曜の朝。
まだ外が明るくなりきらない頃に、部屋で寝ていた私はベッドから引きずり出された。
「なっ、何!?」
「さあ起きなさい。すぐに美容院に行くわよ」
突然の事態と母の宣言に、実際の視界と頭の中がひっくり返る心地だった。
すぐに? 今いったい何時なの??
一緒にベッドから転げ落ちたスマホを見ると、6時前だった。こんな時間に!?
「ち、ちょっと。すぐにって、こんな時間に開いてるとこが」
「行きつけの店に予約して特別対応してもらってるから。ほら起きて」
「お、お母さん、だからお見合いは」
「まだそんなこと言ってるの。観念しなさい」
「わああ!?」
母と父に両脇を抱えて家から連れ出され、近所の美容院に放り込まれ。
顔と髪をさんざんいじられてヘアメイクを施され。
あちこち締め上げられながら着付けを終えた頃には、太陽はすっかり高く昇っていた。
「まあ明花、キレイじゃないの。さすが今里さんね、ありがとう」
「いえいえ、お嬢さんの土台が良いからですよ。どういたしまして」
母と、顔なじみの美容院の店主が話すのをぼんやり聞きながら、私は立っているので精一杯な心境だった。実際、帯が苦しいし履き慣れない草履は足に食い込むしで、落ち着かない。
昨夜のうちに逃げておくべきだったかと、今さらの後悔が胸に浮かんだ。