見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
記憶を辿るように視線を少し上向かせて、稔くんは答える。
それならきっと、さっきの女医さんだろう。緊急連絡先をおそらく会社に問い合わせて、「夫」の携帯番号を知ったに違いない。
……たぶん、彼も知っているはずとか、心配しているかもとか思って、伝えてくれたのだろうけど。
女医さんに悪気はなかったのだろうと考えても、内心は複雑だった。どれだけ言いにくくても伝えるなら自分の口から、という思いがあったから。
もう、知られてしまっているのなら、次は本当にどう言えばいいのか。
頭の中がぐるぐるしてきて、考えがまとまらない。
唇を引き結び、ふたたび目を伏せていると、ふうっと稔くんが息を吐く音がした。
ため息だと受け取って、ああやっぱり嬉しくは思っていないんだろうな……と考えて唇を噛んだ時。
「そんな顔しなくていい。不安なのはわかるけど、俺も勉強するから」
「……え?」
思いがけない言葉に顔を上げると、稔くんの真っ直ぐな視線とぶつかる。
ドキッとするほど透き通った眼差しに、金縛りにかかったような心地がした。