見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
私が固まった状態でいるのを、訝しむようにしばらく見つめてから稔くんは、私の手を握っていた手を離す。と思った次の瞬間、肩をぽんと軽く叩かれ、次いでしっかりとつかまれて、またどきりとした。
「俺たちの子供だろ。産むのははるちゃんしかできないからそこは負担をかけて申し訳ないけど、責任は等分だと思うから。産む前も生まれた後もできるだけ、はるちゃんにだけしんどい思いさせないように……あ、旅行の計画も考え直さないとな。海外でなくても、近場でいい所が見つかれば出産前に」
「ち、ちょっと待って」
滔々と語る稔くんの話に、焦った気持ちで割り込む。
話の腰を折られて「なに、どうかした?」と尋ねてくる彼に、私は問いを返した。
「…………その、なんていうか…………産んで大丈夫なの?」
「へっ?」
きょとん、という表現を実際に表したら、きっとこんな顔なのだろう。その見本のような表情を、稔くんは見せた。
「大丈夫って、どういう意味」
「えっと、つまり――う、産んでもいいの?」
私の言葉に、稔くんは、これ以上ないぐらいに目を見開いた。
直後、形の良い眉が寄せられる。
「……なんだよ、それ。まさか産まないつもりだったのか」
憤りをにじませたような低い声音に、私はさっきの何倍も焦りを感じた。