見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
ごく自然な問いのつもりだった。だから、彼がなぜ、こんなに怒った様子を見せるのかがわからない。
「え、と、その――ち、違うの。産まないとかは思ってない。でも」
迷惑なんじゃないかと思ったから、と口に出した途端、稔くんの表情が困惑に取って代わる。
「……迷惑? 俺が?」
「だって、この結婚は契約じゃない。そりゃ親は跡取りが欲しいだろうけど、子供についての話、よく考えたら稔くんとしたことなかったから……だから」
息苦しくなって、一度深呼吸する。つばを飲み込んでから、言葉を続けた。
「だから、もしかしたら子供なんか欲しくないんじゃないかって思ったら、なんだか……怖くて。いい反応されなかったらどうしようって、別れないといけないのかなとか考えたりして」
「は? 別れないといけないとか、なんでそんな」
「そうしないと産めないと思ったから! 子供なんかいらないのにって顔されて、そう思われてるってわかりながら子育てするなんて、できないもの――だけどこの子を、産まずに殺すなんてことは絶対したくない。産みたいから。産んであげたいから……」
ぼろっ、と唐突に、大粒の涙がこぼれ落ちた。もちろん私の目からだ。
感情が決壊したらしいと頭の片隅では冷静に考えたけど、一度こぼれた涙は制御を失って、後から後から頬をつたい落ちていく。