見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!

 喉がふさがって、それ以上は言葉にならない。
 本当はもっと言いたいことがある。ちゃんと伝えたいことがある。私はあなたが好き、だから子供を産みたいのだ――けれど出そうとする声は嗚咽に変換されて、まともな言葉にできそうにない。

 ぐすぐすと鼻をすすりながら、何も言えずにただ泣き続けている今の私は、それこそ子供みたいだ。
 いい歳した大人なんだから早く泣き止まないと……せめて涙を止めないと、このままじゃ彼を困らせてしまう……

「明花」

 穏やかな声に呼びかけられる。予想したような、困った声でも気遣いの声でもなくて、戸惑った。
 はるか、と日常で呼ばれるのも珍しい。……夜の時にしか呼ばれないものだと思っていたから。

「ごめんな、そんなこと明花に思わせて。俺がちゃんと話をしてこなかったせいだな」
「ちが、私が」

 私が自分の感情を伝えずにいたから。そう言おうとしたけれど。

「違わない。悪いのは俺だよ」と遮られる。

「俺がずっと、ごまかすみたいにして明花に接してきたから――言わなきゃいけないことはわかってたのに、そのための勇気を出せずにここまで来ちまった」
< 114 / 120 >

この作品をシェア

pagetop