見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!

 ごまかす……って何を? 尋ねたいけれどうまく声にできない。その間に、稔くんは話をさらに続けた。

「ほんとは最初に言うべきだったんだ。けど、明花の顔を見てたらすごい照れくさくなって……それからもずっとそんなんで、結局言えなかった」
「なに……を?」

 今度はちゃんと声に出せた。泣きじゃくる子どもみたいな涙声だったけれど。

 私の問いに、稔くんは、ふっと笑う。涙声をからかうわけでも、質問に戸惑うでもない、大人の優しい笑み。

「明花が好きだってこと」
「…………え?」
「明花が好きなんだ。素面の時にちゃんと、言ったことないよな。いつも何かに紛らわすみたいにしか言えなくて――最低だよな。我ながら男の風上にも置けないって思う」

 頭をがりがりと掻きながら、本当にそう思っているような、自分を蔑む声音で稔くんは言う。

「本当は、見合いで再会した時から――いや、ほんと言うなら昔から好きだった。あの町を引っ越す前からずっと。他の()と付き合っても、明花を忘れたことはなかったんだ。……だから、なんだろうな。振られるのはいつも、俺の方だったよ」

 苦笑いの形に唇を歪めながら稔くんが言うことを、信じられない思いで聞いていた。

 ずっと、好きだった? 故郷で仲良くしていた頃からずっと?

 そんなまさか、という感情が頭と心を駆け巡る。けれど稔くんの表情はどう見ても、からかっているようなものではない。
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