見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!
彼の目は、どこまでも真っ直ぐに私を見ていて……嘘など欠片も感じられない、真摯なまなざしだった。
ぽろり、と新たに生まれた涙が目尻から落ちる。けれどそれは、負の感情によってではなく――胸のうちが温かいもので満たされ始めた、幸福感があふれたものだった。
嬉しい。彼にそう言われて、幸せ。
心の中を占めているのはその感情。
さっきとは違う意味で、涙で喉が詰まる。嬉しさを伝えたいのに、返したいのに、声が言葉にならない。
そんな私の様子を見て、稔くんが「あ、ごめん」と焦ったように言う。
「泣かせるつもりじゃ――」
声音から、勘違いさせたと察して、慌てて首を横に振る。勢いよく振りすぎて、ちょっと目まいがしたぐらいだった。しかも頭の傷も微妙に痛んで「いたた」と思わず口走ってしまった。格好悪い。
ぐいっと、目尻と頬の涙を強引にぬぐって、顔を上げる。おそらく顔は、化粧が剥げまくってなかなか酷い状態になっているだろう。でも今はかまっている場合じゃない。
「わ、私も……っ」
「え?」
言いかけて、喉が残っている涙でまた詰まった。
二度咳き込んで、息を大きく吸ってから、もう一度口を開く。
「私も、好き――稔くんのことが好き」