見合いで契約婚した幼馴染が、何故か激しい執着愛を向けてくるのですが!


「──ぷっ、ふふ」

 歩きながら何度目かの吹き出し笑いをする坂根さんに、いいかげん我慢できなくなって抗議する。

「もう、そんな笑わんとってよ……」

 さっきの私の反応が、大袈裟かつ爆笑ものだったのは自覚している。
 彼だけでなく場の全員(私を除く)が、笑いを必死にこらえていた。

 だけど、誰だって私の立場になってみれば、あんなふうに反応しても無理はないと思うだろう。思ってほしいものだ。

「ごめんごめん、……はるちゃんの関西弁、懐かし」
「あー……私もしゃべったん、久しぶりやわ」

 両親は東京出身で、だから家では会話は標準語。
 学校ではそれなりに周りに染まった関西弁でしゃべっていたけど、就職してからは同期に関西出身が少ないせいもあって、やっぱり標準語での会話が多かった。
 仕事が忙しい影響で、しばらく学生時代の友達にも会っていない。気安い感じの関西弁で話すのは、本当に久しぶりだった。

「せやけど、皆知ってたんやろ、稔くんのこと。人が悪いわあ」
「釣書に書いたはずやけど。もしかして読まんかったん?」
「…………、ごめん、読んでない」

 一気にバツが悪くなり、うつむいた。
 ちなみに今いる場所は、ホテルの中庭。日本庭園がしつらえられていて、お客が散策できるように散歩道が整備されている。
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