恋に落ちたら
お昼を済ませ、映画に行くがちょうどいい時間のものがなく、2人ともどうしても見たいものもないのでまたショッピングへ戻るが土曜日の午後でだいぶ人が増えてきた。

「みのり、おやつ買ってうちでお茶しないか? 歩き疲れただろう?」

「え?」

「やましいことは全く考えてません。でもお茶するところも混んできたからどうかな、と思っただけでさ。懐かしいアルバムも出てきたんだ。一緒に見ないか?」

あえてやましいことは考えていないと宣言してくれた。そこは安心していいのかもしれない。でも男の人の部屋に行くなんて私にはレベルが高い気がする。

「ごめん。やっぱりどこかに入ろうか」

悟くんはニコッと笑うと手を絡ませ、進もうとした。

「ごめんなさい。ダメってわけじゃないの。でも何もかも初めてのことだらけだから緊張しちゃって。混んできたし、悟くんは明日仕事だし、昨日は夜勤明けだし、アルバム見たいし、お茶の時間だし、それに……」

「アハハ。そのリアクションがかわいいな。いくつも理由をありがとう。では、下心なく我が家へ招待します。みのりの好きなケーキ買っていこうか」

さっきの笑顔とは違い満面の笑みになった彼は楽しそうにケーキ屋さんを目指して歩き始めた。

< 31 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop