独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
「瀬尾は今回のプロジェクトから外れて貰う」

「は? 何だよそれ!」

「当然だろ? 取引先の社員に手を出して問題を起こした。同僚の妻に手を出そうとする。社内の風紀を乱すような者を信用出来ない」

「だからってそれを晴臣が決めていいのかよ? 今言っていた理由も弱い。完全に公私混同だ」

興奮する瀬尾を冷めた目で見つめていた晴臣は、バッグから書類を取り出した。

「これが何か分かるか?」

「何だよ」

瀬尾は警戒するように目を細める。

「お前へのクレームだ。随分好き放題しているみたいだな。コンプライアンス担当の間では有名人だったぞ?」

「な……まさかそんな。誰がそんなこと!」

「それは教えられない。内容はそこに書いてあるよ」

「これが? 誰の文章だ?」

瀬尾は食いつくように晴臣の渡した書類に視線を走らせる。
< 104 / 108 >

この作品をシェア

pagetop