独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで

申請書の作成や、CADを使った図面の作成、法務局での手続き、依頼人とのやり取りなどが多岐にわたる業務で結構忙しい。
だからか仕事をしている時は嫌なことを忘れられる。

晴臣と結婚した時、彼の実家の神谷家が専業主婦を希望した為退職するつもりでいた。

けれど所長の白藤が融通の利くパート勤務として残って欲しいと引き止めてくれた為、今もこうして働いている。

当時は神谷家の意向に背いてまで仕事を続けるか迷ったけれど、結果として続けてよかったと思う。

予定していたタスクをこなすと、四時になっていた。

（うわ、もうこんな時間、急がなくちゃ）

この後は法務局に申請書の提出に行く予定でいる。徒歩十分程度で到着するが、五時過ぎには受付終了してしまうので焦せる。

とは言えミスがないか慎重に確認をしなくてはならない。後で間違いが発覚して補正になると余計に大変なのだ。

問題ないと納得してから、オフィスを出た。

法務局ではそれ程時間がかかずに申請書の提出を終えられた。
家に持ち帰れない書類があるので一旦オフィスに戻ってから帰宅する。