独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
「……ナンパ?」

予想外の出会いだった。しかも瀬尾の口ぶりではその日にホテルに行ってる。

(あの瑠衣が初対面の男についていくのか?)

信じ難かった。

「晴臣、眉間にしわが寄ってるぞ。この話やめた方がいいか?」

「いや、問題ない。それでどうして別れたんだ?」

付き合ってた頃の話など聞く必要はない。

聞いても更に不快になるだけだから、きちんと別れているのが確認出来ればいい。

晴臣の問いに、それまでニヤニヤしていた瀬尾の表情が憂鬱そうなものに変化した。

「ちょっと他の女と遊んだんだけど、それがバレてさ。修羅場になって破局した」

「修羅場……瑠衣が怒ったのか?」

「そう。あいつ大学生にもなって処女だったし、ちょっと潔癖なところがあるからさ。遊びでも許せないって騒いで、嫉妬で怒り狂う姿を見てたら俺も退いちゃって、ヒステリックな女は無理だよな」

瀬尾はやれやれとばかりに溜息を吐く。

晴臣はテーブルの下で拳をぎゅっと握り締めた。

(何が無理だ! そもそも浮気したお前が悪いんだろ? 激怒されて当然だ。しかもこいつが瑠衣の処女を……)

怒りで頭に血が上ってしまいそうになる。
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