独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
この感情が嫉妬だと分かっている。

それだけに、なんと狭量な男なのだろうと自己嫌悪に陥る毎日だった。

早く割り切って瑠衣への態度を元に戻さなくては。

そう思っているのに、社内で瀬尾と会う機会が多く、その度に瑠衣の話しを聞かされる。

どんな付き合いだったかや、得意先との接待でアルコールが入ったときなどは、瑠衣とのセックスについて語って来た。

無神経なのか、分かっていて嫌がらせをしているのか。
後者のような気がしたが、どちらにしてもむきになったら思うつぼだと感情を抑えていた。

しかし瀬尾は更なる衝撃発言をした。

「そう言えば瑠衣と連絡するようになったんだ」

「連絡?」

「そう、近況報告とか他愛ない話とか。瀬尾が嫌ならやめるけど」

そう言われたとき、素直にやめてくれと言えばよかったが、意地を張ってしまった。

何でもない顔をして「適切な友人付き合いを止める気はない」「妻を信用しているから、心配はしていない」などと平然と答えていた。

死ぬほど後悔したのは言うまでもない。

悶々とした日々を送りながら、瑠衣の様子を観察した。
ごく普通でこれといった変化はない。昔の男と繋がって浮かれたりしているようには見えなかった。
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