独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
瑠衣と同じ補助者の仕事をしている社員が、先月から産休に入った為、以前よりも業務量が増えていた。段取りよくこなしていかないと時間通りに帰れなくなる。
受信メールを確認して、返信転送など適切に処理をしてから、依頼されていた見積書の作成に入った。
合間に電話と来客応対をこなしていると瞬く間に昼休憩になり、那々に声をかけられた。
「今日は通りの向こうの蕎麦屋でもいい? 久しぶりにあそこの天丼食べたくて」
那々は蕎麦屋の甘め控え目あっさりタレの天丼が大層お気に入りで、月に一度程度は行きたがる。
「うん」
瑠衣は料亭の娘だが、食にそこまで拘りがなく、なんでも美味しく頂ける。そのためいつも那々に合わせている。
料理はまあまあ好きだが仕事にしたいとは思わず、畑違いの白藤総合登記事務所に就職したのだ。
まあ、家業に関わらないと決めた一番の理由は別にあるのだけれど。
蕎麦屋に行き、那々は天丼セット、瑠衣は月見そばを注文した。
「ここは天丼だけじゃなくて、いつも空いてるから食後ゆっくり出来るところがいいんだよね」
「ちょっと、那々……」
遠慮ない発言に、瑠衣が慌てて黙るように態度で示す。
「大丈夫だって、聞こえないもの」
「そうかもしれないけど」
受信メールを確認して、返信転送など適切に処理をしてから、依頼されていた見積書の作成に入った。
合間に電話と来客応対をこなしていると瞬く間に昼休憩になり、那々に声をかけられた。
「今日は通りの向こうの蕎麦屋でもいい? 久しぶりにあそこの天丼食べたくて」
那々は蕎麦屋の甘め控え目あっさりタレの天丼が大層お気に入りで、月に一度程度は行きたがる。
「うん」
瑠衣は料亭の娘だが、食にそこまで拘りがなく、なんでも美味しく頂ける。そのためいつも那々に合わせている。
料理はまあまあ好きだが仕事にしたいとは思わず、畑違いの白藤総合登記事務所に就職したのだ。
まあ、家業に関わらないと決めた一番の理由は別にあるのだけれど。
蕎麦屋に行き、那々は天丼セット、瑠衣は月見そばを注文した。
「ここは天丼だけじゃなくて、いつも空いてるから食後ゆっくり出来るところがいいんだよね」
「ちょっと、那々……」
遠慮ない発言に、瑠衣が慌てて黙るように態度で示す。
「大丈夫だって、聞こえないもの」
「そうかもしれないけど」