独占欲を秘めた御曹司が政略妻を再び愛に堕とすまで
その時々に疑問を覚え瀬尾に問い質したが、電話に出なかったのは疲れて寝ていたからだ。などと子供の言い訳のような内容であっさり騙されてしまっていたのだ。

しかし冬の有る日、積み重なった疑問が晴れる出来事が起きた。

瀬尾が女性とホテルに入ったところを瑠衣の友人が目撃したのだ。

しかもその女性は瑠衣も知っている同じ大学の知人。

その頃、約束をキャンセルされることが続き不安になっていたこともあり、瑠衣は感情的に瀬尾を問い詰めた。

『どういうことなの?』

動揺して泣いている瑠衣に、瀬尾は心底うんざりした様子を見せた。

『どうって、聞いたんだろ? 浮気したんだよ』

『……! そんな平然と』

瑠衣は激しく混乱していた。

万が一浮気をしたとしても、恋人にそれがばれたら謝るものではないのだろうか。

開き直ったような瀬尾の態度が、まるで理解出来ない。

『この際はっきり言うけど、もう飽きたんだよ。そろそろ別れようと態度に出してたんだけど、お前全然察しないのな。ほんと鈍感』

馬鹿にしたように言われ、カッとなった。

『な、何それ! 浮気したのにどうしてそんなに偉そうなの?』

『浮気じゃないし』

『え?』
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